梟
今日、家の近くである動物を見ました。
買い物を終えてテチテチ路地を歩いていると、前からおじさんが歩いてきました。
おじさんの左肩のあたりがヒョウ柄っぽくなっていて、おばさんだけじゃなくておじさんもヒョウ柄を身にまとうんだなあ~なんて思っていると、そのヒョウ柄の部分が少しだけ動きました。
びっくり仰天です。
まさかピョン吉のほかに動く服が存在するのか?
もし、存在すればピョン吉の個性が薄れるのですからこれは由々しき事態です。
すれ違う時に、よく見てみました。
カエルではありませんでした。フクロウでした。
フクロウと認識した瞬間、私はフクロウよりもおじさんのことを凝視してしまいました。
こんな真昼間から住宅街でフクロウを連れて歩くなんて何者なんだ?
おじさんは40代~50代くらいで少し日焼け気味。服装は迷彩のジャケット。そして執事のように構えた左手にはフクロウ。
昔、やんちゃしてた感じの風貌ですがフクロウだけが異様でした。
いったいあのフクロウは何だ?そしてあのおじさんは何者だ?
私には知る術がないので、妄想するしかありません。
おじさんはフクロウカフェの店長で、平日で客が少ない時間にフクロウを連れて散歩していたのかもしれない。
おじさんはただのフクロウ好きで、フクロウのために外を歩いていたのかもしれない。
おじさんには幼い娘がいて、娘がフクロウを飼いたいと言ったので買ってあげたが、結局お世話はおじさんがしているのかもしれない。
おじさんはロボット工学者で、精巧なフクロウロボができたので一般人の反応を伺うために街ブラしていたのかもしれない。
何はともあれ、犬や猫に比べたら遭遇する頻度の低いと思われるフクロウに出会ったのだから、運は良かったのかもしれません。良かった良かった。
フクロウ目撃談でいうと、15年以上前にも我が家で話題になったことがあります。
私がまだ小学生のころ、同じく小学生の姉と、父と3人で父の実家の山梨県に来ていました。山梨の祖父祖母の家の裏には、まさしく裏山という感じの山があり、そのときも裏山を車で走っていました。
道はコンクリートで舗装されていて、道路の周りは木が生い茂っています。木が多いので、昼間でも道は暗く少し怖い雰囲気でした。
なんか出てきたらいやだなあ、なんて思っていると姉が騒ぎ始めました。
「フクロウいた!!!フクロウいた!!」
生い茂る高い木のてっぺんのほうを指さし、木の枝にフクロウが止まっていたと主張し始めたのです。
しかし、時すでに遅し。私と父はフクロウを目にすることができませんでした。
フクロウなんているわけないよと父が言いますが、姉は絶対にフクロウだったと譲りません。私は、こんな普段通る道にフクロウがいたら怖いので、父の言うことを信じることにしました。
今でも、その話になると姉は、あれは絶対にフクロウだったと言ってきますが、父はきっとフクロウと袋を見間違えたんだよといつも言っています。
私はしょうもないダジャレが好きなので父の言うことを信じていました。
しかし、今日、まさかこんなところでというタイミングでフクロウに出会ってしまったので、もしかしたらあのとき、姉は本当にフクロウを見たのかもしれないと少し思いました。